【解説】モンハンワイルズのβテストについての誤解を解きたい。

表出化した水面下の争い

全世界待望の「モンスターハンターワイルズ」のβテストが配信され、狩人達が広大な砂原で狩りに興じている裏でとある争いが勃発していた。

そう、パフォーマンス問題だ。

今やこれほどの大型タイトルとなると単独のゲーム機だけでなく様々なプラットフォームに展開されるのが当然になりつつある昨今、この話題は避けて通れない。

そういったなかでフラットな目線で情報を発信している人もいれば明らかにバイアスのかかった事実と異なる情報を発信している人もいるため状況は混沌としており物議を醸す事もしばしば。

俺はこの不毛な争いを終わらせたい。その一心でこれを書いている。

各環境のパフォーマンス一覧

本題に入る前にまずは各種プラットフォームのパフォーマンスとPCにおける推奨環境について確認しておこう。

この動画と公式サイトで公開されている情報ををもとに話していくので詳しく知りたい人はそっちを見てもらいたい。

PS5

  • 解像度優先で30fps
  • フレームレート優先で60fps

PS5は極めていつも通り。

PS5Pro

  • ターゲット40fpsの「バランス重視」が追加
  • 解像度優先とバランス重視ではレイトレーシングが有効になる
  • 全ての設定においてアップスケーリングがFSRからPSSRに変更

レイトレーシングを使用できるゲーム機はPS5Proだけ。

Xbox Series X/S

  • Series XはPS5と同じ
  • Series Sは1080p30fpsで動作

Series XはPS5と全く同じ。Series Sは最低限の動作のみでフレームレート優先は無し。

PC

ドスパラの推奨PCはRTX4060搭載モデルで164,980円〜。フレーム生成は入力遅延が生じるため、それが推奨環境に設定されていることに賛否両論あり。

βテストの比較動画は意味がない

調べればいくらでも出てくるβテストのパフォーマンス比較動画。どのハードを買うか決めあぐねている人はこういった動画を参考にしているのだろうが、βテスト比較を見て決めるのは早計だ。

その理由をいくつか紹介する。

βテストはアップスケーリングの種類が違う

PS5とPS5Proはボケボケ
PC版は綺麗です

こういったことが平然と言われているけど、βテストは製品版とは仕様が異なることが明言されている。

βテストのPS5/Xbox版ではチェッカーボードレンダリングというPS4ProとXbox one Xで採用されていたものを使用しているが、製品版ではPS5の世代で利用されているFSR1.0(PS5ProではPSSR)を使用することになっているしアップスケーリングの品質はこちらの方が高い。

ちなみにPC版のβテストではPS5の製品版で使用されるFSR1.0よりもバージョンの新しいFSR3.0や、PSSRと同じAIを利用したDLSS3.5も使用できるため「PCの方がPS5より綺麗」なんていうのは至極当然の話。

だからβテストの比較で「PS5は画質が悪い」とか「Proでもボケボケ」なんていうのが、いかに頓珍漢な批評なのか分かってもらえただろうか。

FSR1.0とかw

という声も聞くけど、少なくともアップスケーリングのバージョンの違いを気にしているのはPCユーザーくらいでゲーム機のユーザーは殆ど気にしていない。

PS5では元々FSR1.0を使用していたし、バージョンアップであるFSR2.0、3.0に対応しているPS5タイトルは調べた限り

  • サイバーパンク2077
  • ウィッチャー3(PS5版)
  • ほか数タイトル

という状況で両手に収まる程しか無い。つまりワイルズにFSR1.0が使用されたいたとて、普段PS5でゲームをしている人は全く気にする必要はないのだ。

ちなみにPro Enhancedの要であるPSSRによるゲームの品質向上がどの程度なのか知りたいなら、ボケボケ画質だったFF7リバースのパフォーマンスモードがPSSRに対応してどう変わったのか一度見てみる事をお勧めする。

βテストのfpsは最適化されていない

先ほど確認したようにPS5のフレームレートは画質優先で30fps、フレームレート優先で60fpsが目標値となっている。しかしβテストではフレームレート優先でも60fpsで安定せず負荷の高い場面では40〜50fps程度を行き来している。

このことが原因で「PS5では性能不足論」が囁かれはじめ

PS5ではフレームレートはガクガク。Proでも60fps出ない。

という情報が流れているのだが、先ほどの画像の下部分をよく見てもらいたい。

「フレームレート優先モード時の描画不具合を修正するとともに、パフォーマンスを改善」と明記されているように製品版ではβテストよりフレームレートは向上することが約束されている。

向上って言ってもそんな劇的に上がるわけじゃないだろ

って心配も分かるんだけど最適化による影響でどの程度フレームレートが上がるのかは、ワイルズと同じRE ENGINEで制作されたオープンワールドゲームのドラゴンズドグマ2を参考にしてもらいたい。

ドグマ2は発売当初「30fps固定」と「可変フレームレート(25〜40fps)」しか用意されておらずフレームレート優先が無いことがかなり物議を醸していた。しかし現在ではアップデートによって45〜60fpsへと大幅に向上している。

20fpsという上昇幅はとんでもない数値のためこの半分の10fpsと見積もっても、ワイルズの製品版では50〜60fpsに向上する可能性は十分にある。水辺や敵の大技など負荷のかかる場面で50ほどに落ち込んでもその他のシーンでは55〜60を推移するとしたら何も問題ないのではないだろうか。

30fpsはガクガクなのか問題

PS5は(画質優先で)30fpsしか出なくてガクガクです

という意見もあるけど、これがまあ個人の体感によるところが大きいんだけど、俺の意見としては全然気にしなくていいです。

PS5の世代になってさも60fpsが当たり前みたいな空気があるけど、実はゲーム機にとって30fpsというのはごく普通の値。「これ以下だと困るけどこれでもいいよね」という絶妙なラインなんだ。

実際Switchのゲームは殆どが30fpsだし、ゼルダもポケモンもモンハンライズも30fps。何ならPS5のゲームでもFF16のような不安定な40〜50fpsよりは30fps固定の方が良かったりするし、FF7リバースも60fpsより30fpsの方が俺は好きだった。

fpsはどうしたって体感の話だから個人差によるところが大きいけど、少なくとも普段から60fps以上の高フレームレートに慣れているPCゲーマーにとって30fpsなんて耐え難い苦痛でしかないから「PS5はガクガク」という感想を抱くのも仕方がない。

とはいえ俺みたいな30fpsでも全然問題ないですよって人もいるから、動画投稿者の声だけでなくいろんな人の声を聞いて自分は30fpsでも問題ないのかを総合的に判断していってもらいたいと思う。

不安に駆られてPCを買うのは悪手

ここまでをまとめると、PS5では

  • 画質がボケボケ
  • 30fpsはガクガク
  • 60fpsにすら届かない

こんな具合に言われているわけだが、この話を聞いて

PS5だとまともにゲームができないのかも…

なんて人はドツボにはまっている。普段あまりゲームをしない人ほど無駄に不安を煽られてPCじゃないとダメだと思い込んでいる。頼むから目を覚ましてほしい。

そもそもゲーム機っていうのは大衆向けの娯楽。冷静に考えて世界中で販売されているゲーム機で販売される超ビッグなタイトルが、大衆が満足できるレベルにはなってないわけがない。しかもワイルズはPS5をベースに開発しているからPS5でまともに動かないなんて事はまずあり得ない。

もちろん60fpsが売りのPS5なのに30fpsしか選択肢がなかったドラゴンズドグマ2や、バグまみれでまともに遊べなかったサイバーパンク2077という例もあるけど(現在はどちらもアプデで改善済み)それはあまりにも木を見過ぎ。もっと森を見るべき。

現に99%のタイトルはPS5でも30fps、60fpsできちんと動作しているし画質もほとんどの人が満足できるレベルに仕上がっている。PS5の売り上げが伸びていてアクティブユーザーも増えている事がその証拠だ。

もしあなたがβテストの比較動画を見て「PS5じゃダメなんだ」と判断してPCを買って喜んでいた矢先、もし製品版のPS5でも十分に綺麗であなたが満足できる動作をしていたらどうだろうか。本当ならもっと安く買えていたはずなのに…と後悔せずにはいられないだろう。

しかもPCの扱いというのはかなり難しい。推奨スペックだからといって動作保証というわけではないから予期しない不具合が起きるなんてザラにある。何の知識もなく単にゲーム機より高性能なマシンなんて楽観視しているとおもっくそ面食らう。

だからPCを扱うなら何かしら不具合が起きても自己解決できるだけの知識が必要不可欠。乗りこなせない高級車や大型バイクは宝の持ち腐れでしかないのだ。

ゲーミングPCというのはゲーム機の体験では満足できなかった人たちがたどり着く場所なんだ。120fps以上とかウルトラワイドとかキーマウ操作とかPC専用ゲームとか配信とか動画編集とか、PCでしかできない体験があるからPCを買うのであって不安に駆られて買うようなものでは断じてない。

だからもしPCを買いたいなら

ゲーム機じゃ満足に遊べないかも…

なんて消極的な理由じゃなくて

俺はゲーム機じゃ満足できねえ!

ってくらい強い意志を持って買ってほしい。

それぞれのハードの選び方

それぞれのプラットフォームの総合的なサービスや独占ソフトといった付加価値は一旦置いておいて、ハードを買う目的をモンハンワイルズを遊ぶこと一点に絞った場合どのような基準で選べばいいのかまとめたものがこちら。

PS5、Xbox Series X

  • 4Kテレビ/モニターで遊ぶ
  • フルHDテレビ/モニタで60fpsで遊びたい

これが最もスタンダードな選択肢。こだわりがなければこれでいい。心配しなくても大衆が満足できるレベルの体験は保証されているから安心してほしい。

PS5Pro

  • HDMI2.1対応の4Kテレビ/モニターで遊ぶ
  • 通常よりも綺麗な画質で遊びたい

画質優先とバランスモードでレイトレーシングを利用可能。PSSRを使用するのでフレームレート優先でも超綺麗な画面でぬるぬると遊べる。ゲーム機の範囲で欲張りたいならコレ一択。

Xbox Series S

  • フルHDテレビ/モニタで遊ぶ
  • とにかく安く済ませたい人向け

パフォーマンスはフルHD30fpsだが新たに4Kテレビやモニターを買わなくてもいいため最安で環境を構築できる。とにかくお金をかけたくない人向け。

PC

  • 60fps以上で遊びたい
  • 金がある

ゲーム機を超えたパフォーマンスが欲しい金持ち向け。ただ「推奨スペック=動作保証」ではないので、何のトラブルもなくゲームができると思わない方が吉。

ゲーミングPCはそもそも自分で色々と調べられる人向けなのでここでどのモデルがいいのかについては触れない。

【参考】ゲーム機選びのフローチャート

ここまでの情報をまとめたゲーム機選びのフローチャートを作ったので良ければ参考にしてもらいたい。

どうでもいいから「ひと狩いこうぜ」

PS5でもXbox Series Xでも実行性能に大した違いは無いんだからどっちを買ったっていいじゃない。スタンダードな環境なんだから大衆が満足できるレベルには99%なってるから余計な心配せず買ってください。

Xbox Series SがフルHD30fpsで最低限でも買った本人が満足できるならそれでいいじゃない。普段からSwitchで遊んでる人とかSwitch版のモンハンライズに親しんでるなら問題ないだろうし、テレビやモニターを買い替える必要もないから予算がない人にとっては最善の選択肢になるんだから。

PC買ったからってゲーム機を低スペと煽るのはやめようぜ。煽ったところでそれは単に自分の満足できるラインが他とは違うってだけの話じゃない。自分が満足できてるならそれでいいじゃない。

どうぞ好きなもので遊んでください、俺が言いたいのはそれだけです。ゲーム機でもPCでもあなたが満足できる環境ならどれでもいいんです。ただ後悔はしてほしくないので、自分が満足できるラインをしっかり見極めてよく考えて買ってください。

以上です。また禁足地で会いましょう。

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