【「FINAL FANTASY VII REBIRTH 」レビュー(ネタバレ)】これが令和のFF7。セミオープンワールドの最適解。
2024年2月29日。日本中が、いや世界中が待ち侘びていたFF7リメイクプロジェクトの第二作目「FINAL FANTASY VII REBIRTH」(以降FFリバース)が発売された。
前作「REMAKE」を遥かに超えるボリュームと、高密度かつ美しいグラフィックで 生まれ変わったFF7の世界をじっくり堪能していたら、1周クリアするのに90時間もかかってしまっていた。
現在は2周目でサブクエストやミニゲームも消化しつつ難易度HARDで挑戦中。既に合計150時間を超えているが終わる気配がない。願わくばこのままトロコンまでいきたいところ。
ということで今回は、往年のファンを唸らせる傑作「FF7リバース」のレビューをしていきたいと思う。
既存のFF7ファンに向けた傑作
この作品は前作「REMAKE」と同様に、完全新規でFF7に触れる人に向けては作られていない。あの日失望し、歓喜した全ての人に贈る、FF7リメイクプロジェクトの第二章だ。
FF7の思い出を巡る旅
本作はそんな世界中のFF7ファンの期待に応えるべく生まれたため、とにかくクオリティを追求して作られている。試験的作品だった前作とは違い、その完成度とボリュームは近年のFFシリーズのなかでも間違いなくNo.1だ。
リメイクにあたってストーリーが原作から変更された箇所がいくつかあり、スピンオフ作品から登場するキャラクターも出演しており、原作プレイヤーほどそういった違いに気付き楽しめる部分が多く、これまでFF7のシリーズに触れてきたファンたちを喜ばせる演出が多数盛り込まれている。
これまで積み上げてきたFF7の世界の集大成のような作品で、往年のファンたちをもう一度FF7の世界に誘ってくれる愛に溢れた作品なんだ。
再構築されたキャラクターと物語
既プレイでも体験は新鮮
本編では既に死亡したはずのザックスが生きている世界線があったり、ただ通り過ぎるだけだった場所でストーリーが展開されたり、それにあたって一部の地形が変更されていたり、仲間になるはずのキャラがまだ仲間にならなかったり、行くはずの場所に行かなかったりと、大筋の物語こそ変更はないもののリメイクにあたって物語の順序や設定は大きく変わっている。
これについて賛否はあるが、俺は全く問題ないと思っている。ただグラフィックを一新しただけでも十分魅力的ではあるが、30年近く積み上げてきたFF7シリーズの集大成的な作品である事を考えると少々味気ない。
何よりターゲットとなる原作プレイヤー達は先の展開を知っているし、FF7に触れてきたユーザー達へのファンサービスという点を踏まえるとこういった改変は歓迎してもいいと思う。新規プレイヤーのみならず、既プレイの人も新鮮な気持ちでプレイできるのはとても素晴らしい事だ。
より魅力的に描かれるキャラクター
キャラクターに声が付いたことや3D技術の進化によって、原作ではできなかった表情や目線といった細かな動作による心理描写も可能になり、そういった映像表現の進化や演出、脚本の変更によってキャラクターの個性がより光る作品へと生まれ変わった。
FF7はストーリーのみならずキャラクターの人気も高く、メインストーリーやサブクエストを通してキャラクターを深掘りしようという姿勢もうかがえるのも評価の高いポイントだ。
レッドXIIIは前半と後半で口調が大きく変わるのだが、それが文字でしか伝わらなかった原作と違い、山口勝平氏の演技によって少年らしい幼さや可愛らしさが表現されている。原作同様のコミカルな一面も失われていない。
ユフィは原作では隠しキャラ扱いだったが、今作では正式にパーティIN。原作同様に選択肢が表示されるものの、選択を間違えると仲間にならないとかギルを盗まれるなんてことはない。
お転婆なムードメーカー的存在として旅に同行するのだが、彼女が加入してからパーティの雰囲気が一気に明るくなる。このメンバーにとってユフィの存在はとても大きく、原作FF7では気づけなかった彼女の魅力を再発見できるだろう。
あと笑顔がとてもかわいい。
ほかにも、お人好しすぎるミッドガル第七歩兵連隊の面々や
仕事熱心?な神羅課長に
癖の強いソルジャーのローチェなど
モブや脇役に至るまで抜け目がなく、とにかくキャラクターの魅力が光る。
「バレットvsダイン」は名シーン
なかでもバレットとダインの闘いは必見だ。原作から演出の変更はややあったものの、原作よりもエグい展開となっている。
全てを失い復讐に堕ちた哀しい男が唯一見つけた希望。しかしそれは血に汚れてしまった自分の手では決して掴めるものではなかった。
親友だったダインが憎しみに取り憑かれ、死にたくても死にきれず、狂わざるを得なくなった絶望や悲壮が痛いほどに伝わってくる。声優、津田健次郎氏の怪演も相まって強くプレイヤーの心に焼きつく名シーンへと生まれ変わった。
内容の濃いサブクエスト
各地にはかなりの数のサブクエストが用意されているのだが、それも単なるお使いではなく、世界観やキャラクターの深掘りがされていくため、そのひとつひとつの内容が濃く満足度が高い。
クラウドが報酬2000ギルにこだわる理由やバレットの親バカっぷり、写真撮影を楽しむナナキや彼の父「セト」とギ族の関係など、メインストーリーの補足をしてくれたりキャラクターの内面を掘り下げてくれる。
本作のサブイベントには、単なるメインの息抜きにとどまらないFF7の魅力がぎっしり詰まっている。
高密度かつ美麗に描かれた世界
今作の見どころはなんといっても美麗なグラフィックで高密度に描かれる広大な世界だ。前作の舞台はミッドガルの中のみ、かつ行ける範囲も限定されていて世界が閉鎖的だった。
しかしカームの街を抜けて広大な世界を目にしたとき、その美しさに感激した。原作ではどんよりした雰囲気のフィールドマップがここまで美しく広大に再構築されると、これだけでもこのリメイクの価値を感じる。
多彩な表情をもつ世界
今作では草木の生い茂るグラスランドエリア
渓谷のコスモエリア
原生林のゴンガガエリア
他にも砂漠のコレルエリア、湾岸部のジュノンエリア、山岳地帯のニブルエリアといった、多種多様な表情をもつ世界を探索することができる。
エリア毎の探索要素は共通しているものの、視覚的な新鮮さがあるため全くマンネリ化する事なく探索に興じることができる。
パフォーマンスモードの画質はキツい
美麗なグラフィックが売りの本作だが、それは画質優先モードでの話。パフォーマンス優先にすると一転、かなり画質が落ちてしまう。スマホで見ていると分かりにくいが、テレビやモニターに映すと詳しく比較する必要もないレベルで劣化する。
グラフィック優先がパキッとした画なのに対して、パフォーマンス優先はどこかぼんやりとした画になっていたり、本来は人混みになっているはずなのにNPCが不自然なほど大量に削除されたりと、体験を損なうレベルで映像品質が劣化する。
これは体験版の時点で分かっていたことだが、前作のフレームレート優先モードが完璧だっただけにとても惜しい。技術的に可能であれば普段は画質優先の30fpsで、戦闘中だけはパフォーマンス優先の60fpsに切り替わるといった事ができれば最高だった。
PS4との互換は切って正解
前作「リメイク」はPS4末期に発売され、その翌年にDLC「インターグレード」がPS5にのみ発売された。当時「リメイク」をPS4と抱き合わせで販売していたのに、そのDLCでPS4の対応を切った事で多くの反感を買うこととなり、それが尾を引いて今作がPS5専売であることが批判されていた。
しかしコレはPS5専売にして正解。PS5のパフォーマンス優先モードですら品質をかなり落としているのに、それより性能の低いPS4に合わせたら「さらに低画質+30fps」は必至。とてもじゃないけどまともに遊べないのは目に見えている。
たしかに一作目のDLCの販売方法が叩かれたのは擁護できないが、世代交代から4年も経ったいまPS5専売なのは何も不思議なことじゃない。
セミオープンワールドの最適解
前作は閉鎖的なミッドガルの中でのやや一本道なゲーム展開だったが、今作では多彩な表情を持つ広大な世界を自由に探索する事ができる。
これだけ聞くとどこへ行くのも自由な、ブレワイやウィッチャー3のようなオープンワールドをイメージするかもしれないが、本作はそれらとは少々異なる。
ストーリーの進行に応じて徐々に行動範囲が広がっていく、昔ながらのリニアなゲーム展開とオープンワールドの探索要素のいいとこ取りをした、セミオープンワールドいう表現が正しいかもしれない。
フィールドでは原作同様チョコボに乗ることも可能。単に走るだけでなく崖を登ったり空を飛んだりと、それぞれの地域によってチョコボの生態も異なるため、ゲームが進むごとに違った体験を味わえる。
コレルエリアではバギーに乗ることも可能。乗り物酔いしやすいユフィがしっかり助手席に座っているのも地味だがポイントが高い。
ファストトラベルの自由度が高い
本作は非常に広いマップを移動するため、ファストトラベルの利便性はゲームの快適さに直結する。それぞれ街の入り口やランドマークのような場所、各地に点在するバス停のようなチョコボストップにファストトラベルが可能だ。
しかし本作はこれらに限らず、ほぼ全てのクリア済みイベントのアイコンに飛ぶことができる。通信棟や討伐依頼、トレジャースポットやフォトスポットも対象だ。
これら全てを含めるとかなり高い密度でアイコンがあるため、ファストトラベルする場所に困ることはほぼ無い。PS5の爆速ロードも相まって移動において不自由を感じることはまず無いだろう。
マップ上にマーカーを打てない
ミニマップもちゃんと用意されているんだけど正直見づらい。前作は行ける範囲だけが表示されていたので視認性は良かったのだが、今作では航空写真に変わってしまったので視認性が悪くなってしまった。
前作と違い平坦なマップではないため、前作までの手法が使えないのはわかる。せっかくの景色をプレイヤーに見せたかったのかもしれない。でもそれならせめてマップ上に任意でマーカーを打たせてほしかった。
任意でマーカーを打てないため「あそこに行きたい」と思った時に目印になるものがない。特にゴンガガの森では死ぬほど迷ったし、海は景色がずっと同じだから方向感覚が死んで頻繁にマップを開くことになるからテンポが悪くなってしまう。
次回作では任意でマップ上にマーカーを打てるようになってほしい。
膨大すぎるやり込み要素
ワールドレポート
本作のマップ探索要素の総称。お馴染みチャドリー君のデータ収集という目的で、各地の調査を何でも屋クラウドに依頼されることになる。
他探索スポットの場所を知ることができる通信塔。その土地の歴史を知ることができるライフスポット探索。強敵との戦いを楽しめる討伐レポート。次元の狭間からやってきたとある剣豪とのイベントが展開されるエンシェントマターなど、サブイベントのみならず探索要素にまでぎっしりと遊びが詰まっている。
リターンも大きい
こういったサブ要素をクリアすることでパーティ経験値が貰え習得できるスキルが拡張されていく。スキルを習得するためのポイントも貰えるため、サブクエストがキャラ強化に繋がる。
先の項目でも触れたがサブ要素をクリアするとそのアイコンにファストトラベルが可能となるため、通り掛かった時にこまめに消化しておくと後の自分が助かるため、プレイヤーにとってはメリットしかない。
やりごたえのある闘技場
今作にはゴールドソーサー、コレルプリズン、バトルシミュレーターの合計3つの闘技場がある。報酬として有用なマテリアやアクセサリ、スキルポイントが貰えるほか、召喚獣との戦いで召喚マテリアが入手できたり、てきのわざの習得も可能。
HPアップやMPアップのマテリアは優先的に欲しいため積極的に進めていきたいところ。ただ一部の難易度が異常に高い。クリア後のやり込みとはいえHARD10連戦はやりすぎ…。
装備の変更が面倒
高難易度に挑戦する際、負けてもすぐに再挑戦できるのはいいんだけど、装備を見直したい時に毎回やめるを選択しないといけないのが地味に手間がかかる。
何度も挑戦するからこそ、もっと手軽に装備を変えられるようになってほしい。
多すぎるミニゲーム
本作には異常なまでに大量のミニゲームが用意されている。プレイヤーを飽きさせないためなのか、やり込み要素としての側面もあるのだろうがそれにしたって多い。前作のバイクはいい。ストーリーの流れにも合ってるし全く違和感はなかった。
だが今作の射的とレッドXIIIのサッカーは間違いなくクソ。自然な流れ、もしくは自発的に遊ぶならまだしも、無理やりねじ込まれるミニゲームはしんどい。
この2つはコスタ・デル・ソルで水着を手に入れるために参加するのだが、これがまたさほど楽しくないうえに操作性も悪いため難易度が高い。
あとはキノコ採取だろうか。こちらはサブイベントだから強制ではないものの「これいる?」と思わずにはいられなかった。あれは最早ネタでしょう、さすがに笑ってしまった。
よりアグレッシブになった戦闘
FFの伝統であるATBゲージとアクションの完璧な融合を見せてくれた前作だったが、本作ではそこに磨きがかかり、よりアグレッシブな戦闘が展開される。
ジャストガードの追加
前作は攻めと守りのタイミングが明確に別れており擬似ターン制のような立ち回りを求められていたが、ジャストガードによって今作のバトルはアクション性が大きく高まった。
ジャストガードの成功はダメージをゼロに出るだけでなく、敵をのけぞらせバーストゲージも蓄積することができるため守りが攻めに繋がる。だからプレイヤースキル次第ではジャスガードを駆使して常に攻め続けることができるようになり、ノーダメージ攻略といったやり込みも可能になった。
YouTubeには高難易度のバトルシミュレーターをノーダメージ攻略している猛者もいるため、興味がある人は一度調べてみるといいだろう。見たとしても異次元すぎて1ミリも参考にはならないが…。
新たな難易度「ADVANCED」
今作から追加されたプレイヤーのレベルに合わせて敵のレベルが変動するADOVANCEDモード。レベル上げが通用しないため、常に歯応えのある戦いが楽しめる。
武器やアクセサリ、マテリアや戦法など、主にプレイヤースキルを磨くことで乗り越えていく、非常にやりごたえのあるモードとなっている。
そのほか「REMAKE」からの変更点
空中攻撃
前作では空中にいる敵への攻撃手段はバレットかDLCのユフィ、もしくは魔法しかなかったが、今作ではクラウドとティファでも空中での攻撃が可能になった。
通常攻撃と一部のアビリティが滞空しながら使用できるようになったため、空中の敵など手札の限られる相手への有効な対抗手段となる。ただし滞空中はガードは不可かつ回避がまともにできない点には注意が必要だ。
連携アビリティ
今作の戦闘システムの目玉。アビリティを使用することで溜まるゲージを消費して発動する協力技で、全国の男の子が歓喜したシステム。リミット技にも引けを取らないド派手な演出でパーティメンバーたちが協力技を放つ。一人につき6つの協力技があるためそのバリエーションはかなり豊富。
一部の敵はこれがHEATをとる条件にもなっており、敵のモーションをキャンセルして強制的にのけぞらせることができるため、敵の大技のタメで使うと有効だ。技の種類によって「MP消費0」や「バースト時間延長」「リミットレベル上昇」などの恩恵が得られるため、積極的に狙っていきたいところ。
MP消費なしの魔法攻撃
今作ではMPを消費しない魔法攻撃を放つことができる。雑魚戦などで弱点をつけるマテリアを装備していない時などは、HEAT条件を取るための有効な攻撃手段となる。加えて、これを習得していると通常の魔法攻撃が強化される(ファイア→ファイア改)ので、魔法を主に使用するエアリスやユフィは優先的に習得していきたいスキルだ。
ただし通常の魔法攻撃に比べれば威力はかなり劣るため、ダメージソースとしてはあてにならない。あくまでも雑魚戦でHEATを取るための手段として考えておいた方がいい。
「ガ系魔法」の消費ATB増加
攻撃魔法の最上級の消費ATBが1本から2本に増加したのだがこれが結構痛い。FF7リメイクシリーズは魔法がかなり強く調整されているため、強敵との戦いではダメージを稼ぐ有効な方法になる。
エアリスのアビリティでは魔法が二連撃になるのも超強力だったため、そのバランス調整だろう。
それでも「ダメージ限界突破」「MP吸収」「詠唱時間短縮」などを組み合わせれば、MP消費は実質ゼロ、かつ即時発動で1万越えのダメージを単騎で叩き出すことも可能。やはり今作の魔法は超強い。
魅力的なBGM
リメイク作品だから原曲のアレンジはもちろん新曲も多数用意されており、ただのリメイクにとどまらない製作陣の意気込みを感じさせてくれる。
ここではそんな素敵な楽曲たちのなかから数曲、俺のお気に入りを紹介したいと思う。
ルーファウス歓迎式典 -祝賀パレード-
終始暗めの雰囲気が漂う原作FF7の中では珍しく明るい曲。リメイクにあたって多少のアレンジはされたものの、原曲にとても素直で聞き心地の良いBGMに仕上がっており、聞いてるだけで楽しい気持ちになること間違いなし。
変装がバレないようにパレードの後ろを着いていくだけだった原作と異なり、今回はクラウドが隊長としてノリノリで部隊を率いる事になる。
その気になって調子に乗ってしまいがちなクラウドを抑えるティファとエアリスや、お人好しでクソ真面目なミッドガル第七歩兵連隊の隊員たちにも愛着の湧くイベントとなった。
ビーストバトルグラウンド(仮題)
コレルプリズンの地下闘技場での戦闘BGM。OSTにそれらしい曲目がなかったので仮題をつけさせてもらった。もし聞き逃してたら申し訳ない。
個人的には全くFF7らしさを感じなかったため違和感が拭えなかったのだが、聞けば聞くほどに小気味好いリズム感と跳ねるようなベースの虜になり、気づけば自然と身体を揺らしてしまうほどにノってしまってた。
聞けば聞くほどに好きになるそんな一曲。
ゴンガガの森
ゴンガガの森で流れるフィールドBGM。砂と岩に囲まれたコレルエリアを抜け、前時代の遺跡群がそのまま残る原生的なゴンガガの森。自然の雄大さを感じる一曲。
原作では廃棄された魔晄炉がある陰鬱とした雰囲気の漂う村だったが、今作では新規BGMが追加され一気に自然溢れる魅力的なエリアに変貌を遂げた。
どこか民族音楽を思わせる音づくりで、森で牧歌的な暮らしを送る人々を思わせる逸曲。
エアリスのテーマ -白マテリア-
ネタバレ注意
リバースの旅の終着点である「忘らるる都」エアリスの運命とジェノバLife第一形態の戦闘BGM。
こぼれ落ちる白マテリアと共に流れ出すエアリスのテーマは完璧な原作再現。原曲よりも静かにアレンジされており、そこに織り交ぜられたセフィロスのテーマがプレイヤーの感情を煽る。
そしていよいよ戦いに移るというときにジェノバのBGMへと変わっていき、既プレイ勢の多くは「あれ?曲が違う…。」と思っただろう。
しかし、そこから壮大にアレンジされたエアリスのテーマに切り替わり、再びプレイヤーの涙腺を刺激する。感無量。ここの一連の流れは神がかっている。
J-E-N-O-V-A -生命-
ネタバレ注意
場面は移り原作同様の姿を現す、ジェノバLife第二形態のBGM。前作のジェノバBeatと同じく、聞き馴染みのあるフレーズから始まる。
原作のジェノバLife戦はエアリスのテーマだけが静かに流れていたのでこの演出の変更には賛否があるが、分作とはいえ「リバース」という一つの作品のラストバトルの一幕という事もあり、悲しみの中にあるプレイヤーの闘志を奮い立たせてくれる。
前作の「J-E-N-O-V-A -胎動-」もなかなかの神アレンジだったが、今回もその期待をはるかに超えてきた。個人的にはモンハンの「英雄の証」並に燃える演出と展開で、これほどまでに戦意高揚するBGMはなかなか無い。
ラストバトル、怒涛の14章
ネタバレ注意
エアリスの運命
リメイクシリーズ一作目から、いや原作FF7が発売されてからずっと予想されていたエアリス生存ルート。
運命の壁を越えたクラウドだったが、エアリスの死という運命から逃れることはできなかった。静かに流れだすエアリスのテーマに涙したのはきっと俺だけじゃないはずだ…。
アツイ演出
vsジェノバLife最終フェイズのムービー演出。背景も相まって原作FF7の星の体内を思わせる。
ジェノバの目が赤く光り本気モードに突入。壮大なアレンジの効いたBGMと共にプレイヤーのボルテージも最高潮。
世界中の男はみんな好きでしょ、こんな演出。
まさかの共闘
全FF7ファンが夢見たであろうクラウドとザックスの共闘。たまらん。スクエニさん、リメイクしてくれて本当にありがとう。
原作では言葉を交わさなかった2人。ザックスが命をかけて守ったクラウドとの再会。受け継がれた二本のバスターソード。全てが最高。個人的なリバースの最高潮はここ。
原作よりキツい結末
ネタバレ注意
クラウドの異常さがより目立つ
クラウドがセフィロスの凶刃を防いだ際、周囲が虹色の光に包まれ、エアリスを救えた世界と救えなかった世界が生まれた。
運命の壁を超えることができたクラウドだけが両方の世界を認識できているため、仲間たちの目にはエアリスが死んでしまっていても、クラウドだけがエアリスが生きていると錯覚してしまっているという奇妙な状態だ。
戦いが終わりエアリスの水葬が行われたであろう水辺で仲間達は悲しみに暮れているのにも関わらず、クラウドだけはエアリスの死を認識できておらず、何事ものなかったかのように振る舞っている。
何もない空間に何かを見ているクラウド。クラウドの異常さが原作よりも痛烈に表現されている。
幻覚を見ているクラウドとそれを支えるティファ。リアルな話、統合失調症のそれで見ていて辛い。
本当の別れ
リメイクシリーズで生まれた希望、エアリス生存ルートの可能性。もしかしたらエアリスはまだ生きているのではないか。ここから復活してくれるのではないか。
そんな希望を打ち砕く言葉。そう、エアリスは死んでしまった。少なくともクラウドの認識できている世界以外では。
原作のエアリスは言葉を交わす間も無く亡くなってしまう。これこそが命の儚さを体現しており、FF7を名作たらしめているという意見も少なからず存在する。
唐突に訪れる別れは悲しい。しかし個人的には、一度は掴んだはずの手を自分から放す方が悲しい。
高まる最終作への期待
原作FF7のここから先は佳境だ。順番どおりならおそらく三作目の序盤は、竜巻の迷宮でクラウドが壊れてしまう場面だろう。最初から山場のような展開が待っているのは間違いない。
そこから更に
- クラウドの過去と真実
- シド、ヴィンセント、ユフィのストーリー
- ヒュージマテリア
- ウェポン襲来
- 最終決戦
これに加えて並行世界のザックスの運命、終末の7秒前で待っている本物?のセフィロスなど、リメイクシリーズで新たに生まれた謎もあるため、三作目ではそれら全ての伏線や謎の答え合わせがされていくことだろう。
残された謎
ネタバレ注意
透明なマテリア
エアリスから渡された透明なマテリア。それが何を意味しているのかはまだわからない。
ただ、黒マテリアはギ族が無垢なマテリアに怨念を込めて生まれたという。無垢なマテリアは強い想いに染まる…。
クラウドたちはどのような願いを込めるのだろか…。
黒マテリア
セフィロスに奪われたはずの黒マテリアが、なぜかクラウドの手に残されていた。そしてあろうことかそれをバスターソードにはめ込むクラウド。明らかに正気じゃない。
「バスターソード=黒マテリア」だとすると、竜巻の迷宮でクラウドはバスターソードを失ってしまうのではないだろうか。
そして並行世界のザックスから、再度バスターソードとソルジャーの誇りを継承するなんていう展開があるのではないだろうか。もちろんその時はジェノバが作り上げた彼ではなく「本当のクラウド」に向けて。
【予想】三作目のタイトル
体験版レビューの時の予想だと、世界を上書きする「REWRITE(リライト)」なんて言ってたけど、いざプレイし終わって考えてみると「REUNION(リユニオン)」以外にはありえないと思っている。クライシスコアのリメイクのサブタイトルが「リユニオン」だったため、被せてくることはないだろうと思っていたがそうとも言い切れなくなってきた。
というのも今回リバースで判明したセフィロスの目的は分岐した世界をリユニオンすることだからだ。
「原作FF7」が正史世界であるなら、ザックスが生存した世界のみならず、原作の流れから外れているリメイクシリーズもまた、忠犬スタンプが示唆してる通り正史世界から分岐した世界の一つだろう。セフィロスの目的はそれらの分岐世界を正史世界にリユニオンすることだ。
ならば正史世界の原作FF7の過去を描いた「クライシスコア-リユニオン-」があるならば、分岐世界であるリメイクシリーズの最終作が「FINAL FANTASY VII REUNION(リユニオン)」であっても何もおかしいことはないはずだ。
2027年発売予定
ここまで心を惹きつけてやまない作品はそうない。それは約30年前からFF7というコンテンツをコツコツと積み上げてきた結果であり、今作がこれまでシリーズを支えてきてくれたファンたちに向けた、愛のあるリメイクだからこそだ。
情報によると既に最終作のプロットは出来上がっているらしく、2027年の発売を予定しているとのこと。この年は原作FF7の発売30周年かつPS5現役世代ギリギリなので、なんとか間に合わせてもらいたいところだ。
というわけで、今回の記事は以上となる。とりあえずしばらくはHARDモード攻略やサブイベントをやりつつ、とりあえず飽きるまで遊び尽くして「FINAL FANTASY VII REUNION(リユニオン)」の発売を待ちたいと思う。