【「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION」レビュー(ネタバレ)】現代に甦るFF7始まりの物語。古臭さは許容範囲。

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2007年にPSP向けに発売されたクライシスコアFF7。そのリマスター作品が2022年12月13日に「リユニオン」の名を冠して発売された。

オリジナル版が発売した当時、まだ小学生だった俺は何も知らずにこれがFF7本編だと思い込んで近所のゲーム屋で購入してしまい、本編をやるより先にクラウドの出自を知ることになった…。

想定外の経験ではあったがかなり楽しんでプレイしていた記憶があり、その衝撃的なラストが強く印象に残るゲームだったので、それがリメイクされるとあれば当然遊ばないわけはない。

というわけで今回は実に15年ぶりのリマスターである「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION」をレビューしていきたいと思う。

この記事の目次

位置付けはリメイクシリーズの入門編

本作を簡潔に表すと「FF7リメイク風リマスター」と言ったところで、後に発売されるFF7リバースに新たな客層を呼び込むための布石であり、リメイクシリーズの入門編であると考えられる。

FF7リメイクは過去に展開してきたFF7シリーズの集大成的な作品であるため、シリーズへの知識がある程度無いとその面白さが減ってしまう。特に過去編であるクライシスコアはその比重がかなり大きく、FF7を語る上でこの作品は避けて通れない。

それにFF7リメイクのラストシーンではクライシスコアの主人公であるザックスが登場し、次回作リバースで彼の活躍が描かれる可能性が示唆されていた。

だからこそリバースが発売する前に彼が主人公を務めたクライシスコアを再度過去のプレイヤーや、まだプレイしていないユーザーに届けることで、次に発売されるFF7リバースを100%楽しんでもらいたいというのがスクエニの狙いだろう。

そのため本作の対応ハードはPS5はもちろんXbox series X/S、PS4、XboxOne、PC、Switchと、あらゆる環境に向けて販売されているため、幅広い層にFF7シリーズをアピールしていこうという姿勢が伺える。

現代のグラフィックで甦る名作

本作はリマスターと銘打っているが単なる画質向上にとどまらない進化を遂げている。キャラクターのモデルも一新され、現行のソフトと遜色ないクオリティを持っている。

UIやメニュー画面、戦闘システムはFF7リメイクにかなり近いデザインに改修されており、キャラクターや背景などが現世代のグラフィックに一新されフルボイスにも対応している。

システム周りにはやや古臭さが残る

操作系が7リメイクに準拠になり大幅に改善された。右スティックでカメラ操作が可能になったり、R2でダッシュができるようになり、PSPの当時より操作は格段に快適になった。

外見的な変化は元が2007年のPSP作品なのでその差は歴然なのだが、キャラクターのモーションやマップ構成、カットシーンなどは当時のままなので古臭さは拭えない。

モーションは当時のまま

キャラクターの挙動は流石に昔ながらというものを感じる。グラフィックがいくら綺麗になっても誤魔化せない古臭さだ。腕を組んだり肩を落としたり驚いたり。こういった一つ一つの動作を現代の基準で見てしまうと、かなり違和感がある。

カットシーンは当時のまま

オープニングムービーや劇中に挟まれるムービーは一部を除き当時のままの映像が使われている。流石に15年も経つと画質はかなり荒く感じるし最新作と比べると見劣りしてしまうがそれでも十分綺麗。

当時からのスクエニの映像技術の高さが伺えるが、一部の映像はFF7リメイクのものに差し替えられているため、その差に違和感を感じる人もいるだろう。

マップ構成もそのまま

マップはエリア制かつファストトラベルもない。どのマップにサブイベントが発生しているのかも、実際にそこに足を運ばないと分からない。

ミッション等で訪れる屋外のマップも殺風景なうえ、規則正しく並んだエリアを探索していくという簡易的なもの。行き先を確認しようにもミニマップすら無いので、いちいちマップを開くのも手間がかかる。

あくまでもリマスターであるため、マップ構成の大幅な変更がないのはまだいい。でも遊びやすくすると言う点では、セーブポイント間のファストトラベルやミニマップは実装しても良かったんじゃないかと思う。

大幅に改良された戦闘システム

アクション要素が大幅に追加

◯ボタン連打でもなんとかなっていたPSP版からFF7リメイクに似たものに変更され、圧倒的に快適になりアクション要素も強化されている。

防御や回避、アビリティや魔法の発動方法などもFF7リメイクと大体同じで、通常攻撃からアビリティへ連携するとダメージが上昇するなどの調整もされており、原作のバトルシステムを基準にしつつアクション要素を足すことでかなり洗練されたものへと生まれ変わっている。

新要素「構え、強撃」

バスターソード入手後に追加される新要素。⬜︎と✕の同時押しでAPを消費して「構え」を発動できる。その最中は「ガード状態+のけぞり無効」になり、そこからアビリティに繋げるとダメージがかなり増加するというもの。

タメの大きいアビリティは敵の攻撃で潰されやすいのでのけぞり無効の恩恵はかなり大きく、ダメージも増加するため積極的に使っていきたいシステムだ。

バースターソード熟練度が曲者

画面右上の小さい数字がバスターソード熟練度。これが上がると構え時のダメージ軽減率が上がったり、構え後のアビリティでダメージが限界突破するといったメリットがあるのだが、これがなかなか増えない。

熟練度は構え状態で敵の攻撃を受けたり、構え後の強撃やアビリティで敵を倒すと上昇するのだが、その上昇値は0.01%〜0.02%と激渋。しかもどの程度上げればこれらの恩恵が得られるのかも分からない。

というかそもそもの話、熟練度を上げるメリットについて全く触れられないので熟練度を上げるモチベーションがないし、上げようにもどこまで上げたらいいのかも分からないという悪循環。

俺はミッションをそこそこやってラスボス戦の最中にダメージ限界突破が解放されて、初めてこのようなメリットがあることを知った。

熟練度が上がるとどうなるのかについてちゃんとした説明が欲しかったと思う。

キーコンフィグは要確認

操作系がリメイクに近いとはいえ若干の違いはある。リメイクでは◯ボタンは回避だったが本作ではアイテムの使用に割り当てられているので、✕が回避と頭では分かっていても手が勝手に◯ボタンを押してしまっていた。

ゲームの操作は手が覚えている部分もあるためこの微妙な違いに戸惑いやすく、間違ってアイテムを使ってしまうという状況が頻発していた。だからできる限り操作系は自分でリメイクに寄せた方がしっくり来ると思う。

という事で個人的なおすすめキーコンフィグを載せておくので参考にしてみてほしい。

リミット技の発動が任意

D.M.Wが揃うと即時発動だったリミット技がストックしておけるようになり、任意のタイミングで発動できるようになった。

ただしストックしておけるリミット技はひとつだけだからあまり温存しすぎていると勿体無いので、基本的には揃ったら即発動でも問題はない。

ボス戦では敵の大技に合わせたり、回避が難しい時に使ってやると状況をリセットできるため使い時が大事。

リザルトで回復ボーナス

第3章以降、各戦闘の終了時に評価が行われるようになり、それに応じてHP、MP、APが回復するようになった。

  • ノーダメージ
  • 全ての攻撃をガード
  • 魔法でトドメ
  • アビリティでトドメ

これらの条件を満たすと戦闘終了後にステータスが回復するため、MPやAPを節約して通常攻撃のみでちまちま戦闘するといった地味な事をする必要が無くなった。

むしろアビリティや魔法を駆使して短期決戦に持ち込んだ方がノーダメージで倒す事ができて回復ボーナスもつくから消費したMP、APはチャラ。しかも戦闘のテンポも良くなるし楽しい。

これはとても素晴らしい調整。

強化の鍵はマテリア合成とミッション

マテリア合成でステータスを盛る

序盤〜中盤は弱点の魔法で攻めるとサクサク進むため積極的に使っていきたいのだが、中盤以降、魔法をラ系、ガ系にアップグレードしていく際にはそれぞれのマテリアを星5まで強化しないといけないのだがこれがかなり面倒。

頑張ってガ系を合成できるようになる頃には普通に買えるようになっていたり宝箱から拾えたりするし、終盤になれば「暗黒」など普通に魔法より強いアビリティが手に入るので、わざわざ魔法を強化する旨みが少ない。

だから単にステータスを盛る手段でしかない。この作品で強くなるためにはレベル上げよりもマテリア合成の方が大事というわけ。

マテリアとアイテムを合成する事でMP+◯%、HP+◯%といった具合にステータスを強化する事ができる。上がり幅も+6400ととんでもない数字だ。

だからとりあえずHPアップとケアルガのマテリアにHP補正のかかるアイテムをぶちこんでおけばOK。

ミッション報酬が旨い

完全なサブ要素だが報酬や宝箱からまあまあ強いアクセサリやマテリアがもらえたり、リミット技の召喚獣が解放されるミッションもあるので、これをやるかやらないかで難易度は大きく変わるだろう。

なかでも属性ダメージ無効、吸収のアクセサリは超強い。ミッションのレベルが上がってくると当然のようにサンダガを連発してくる敵もいるので、高難易度では必須と思っていい。

先ほど話した「暗黒」もミッション報酬のひとつ。マテリアでHPを盛って、構え状態から暗黒を放てば一定範囲に大ダメージを与える事ができる。しかも暗黒はAPを消費しないので回復さえ怠らなければ継戦能力も高い。

報酬でもらえる強力なマテリアは合成でも作れるが、育成過程で必要なマテリアを星5まで育てる労力を考えると高難易度ミッションを進めた方が手っ取り早い。そのぶん敵もかなり強くなってくるが本作ではバトル毎にリトライが可能なので、トライアンドエラーを繰り返してクリアを目指そう。

暗くシリアスな人間ドラマは必見

今回のリマスターでゲームとして洗練されたのはもちろんだが、当時のまま変わらない魅力はその物語。今更俺が詳しく語るまでもなくクライシスコアのストーリーは本当に素晴らしい。

夢を抱いた16歳の青年が戦友との出会いを通して成長し、想いを託され、そして託し、やがて「英雄」となる物語は必見。

登場人物たちはそれぞれ己という存在に悩み、それは話が進むにつれて暗く重くのしかかる。終始シリアスな展開が続くが、それを跳ね飛ばすようなザックスの明るさが余計に物語の暗さを際立たせている。

そんなザックスに愛着が沸いた頃にニブルヘイム行きの話が出た時、原作の展開やその先を知るプレイヤーたちの心はさぞ傷んだことだろう。

最期の戦いは音楽も相まって完全にプレイヤーを泣かせにくる。もしまだこの作品に触れた事がない人やFF7リバースをプレイするつもりの人は、先にクライシスコアをプレイする事を強くお勧めする。

ザックスという名もない英雄の勇姿を、見届けてもらいたい。

初見でも既プレイでも楽しめる作品

クライシスコアではクラウドの持つバスターソードの原点や、彼の友人であるザックスについて深く描かれるため、後に発売されるFF7リバースのための布石というのは間違いない。

終始暗い物語が続くため人によっては面白くないと感じる人もいるだろうが、そのぶんFF7リバースのラストバトルでのあの展開が活きてくるのだ。クライシスコアのプレイ後、俺はまたリバースを遊びたくなった。

ゲームとしてもかなり遊びやすく改修されたため、昔遊んだ人は「こんなに変わったんだ」と驚きがあるだろうし、未プレイの人にもかなり遊びやすく作り直されている。

しかし元はPSPの作品のリマスターなので、当然昨今のAAAタイトルのクオリティには負けるし多少の古臭さは残るが、特に劣化した部分は見受けられないとても良いリマスター作品だと思う。

内容をうろ覚えで忘れてしまった人は復習のために、まだプレイしたことがない人もぜひこの機会に一度手に取ってもらいたい作品だ。

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