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➤ハード別
これまで俺が触れてきた作品たちのなかでも特に印象に残っているゲームを紹介していく【回顧録シリーズ】
今回はその第一弾としてゲームキューブの(個人的)傑作レーシングゲーム「F-ZERO GX」について話していきたいと思う。
タイトル | F-ZERO GX |
対応ハード | ゲームキューブ |
発売日 | 2003年7月25日 |
どんなゲーム? | 近未来を舞台とした超高速レーシングゲーム |
F-ZEROの魅力といえばその速度。時速2000kmオーバーという触れ込みは伊達ではなく、超高速で流れてゆく景色と一瞬の気も抜けないそのスピード感は唯一無二。
ブースターを使うとバチバチと稲妻を走らせながら疾走し、接戦を潜り抜けて1位に躍り出た時のカタルシスは筆舌に尽くしがたい。
そんなF-ZERO GXを語る上で外せないのが疾走感溢れるテクノサウンド。世間的には前作Xのメタルサウンド方が人気らしいけど俺は断然GXの方が好み。
というのもこのテクノサウンドがとにかく映像とマッチしすぎている。特筆すべきは本作のミュートシティ。おそらく誰もが最初に走るであろうコースなのだが、ゲームプレイとBGMの親和性が高すぎるのだ。
2周目からブーストが使用可能になるんだけど、ちょうどそのタイミングでBGMもサビに突入する。聞き覚えのあるフレーズに胸は高鳴り、稲妻を走らせながらコースを爆走する。これがまた気持ちよくて最高にアガる。
他にも
などなど、お気に入りが数曲。純粋にBGMとして秀逸すぎるのでOSTも昔買った覚えがある。
ブーストを連発して時速2000kmの接戦のなか、大破寸前になりながらも首位を目指して競い合う。焦燥で浅くなる呼吸、強く握るコントローラー、転調するBGM。そんなゴール寸前のギリギリの戦いがこのゲームで最もスリリングで刺激的な瞬間だ。
そんな戦いを勝ち抜いた時の喜び、爆速でゴールラインを駆け抜ける快感。その一瞬のためだけに走る価値があると言える、真剣勝負とはそういうものだ。
浮遊する音速のマシンと、上空に築かれた超巨大なサーキット。そんな世界に住まうのは人間、獣人、ロボット、宇宙人など何でもありで、SF好きにはたまらない世界観。
そもそもF-ZEROは「日常に退屈した富豪達がスリルと熱狂を求めて始めたレース」という設定があるため、およそ普通のレースでは満足できなかった者たちの過激な娯楽なのだ。
隠し要素を含めればキャラクター数も総勢41名とかなり豪華。しかもそれぞれにきちんと設定がついており、なんとテーマソングまで用意されているため、世界観の背景が分厚く魅力的に映る。
各キャラクターでグランプリの最高難易度をクリアすると隠しムービーが見られるなどやり込み要素もある。相応の難易度ではあるが挑戦してみる価値はある。
これはベリーハードの話だが、まあありえないほど難しい。通常のレースとは異なる特殊なミッションが用意されているのだが、通常のグランプリが霞むレベルで高難易度。ひたすらトライアンドエラーを繰り返すその様子は死にゲーと言っても差し支えない。
といった感じでなかなかの歯応え。先ほど話した隠しキャラを出現させるための条件がこれなのでやり込みたい人は避けて通れないが、クリアした時の達成感もひとしおなので、ぜひ挑戦してみてほしい。
子供ながらに俺はこのゲームの虜になり、大人になった今もF-ZEROに心惹かれている。続編が出なくなって久しいが、今まで他にレースゲームをやってこなかったわけではない。
しかしそれでもF-ZEROの魅力を覆すことはできなかった。その理由を少し考えてみた。
マリオカートは同社の販売するレースゲームなのだが、俺はこのゲームがあまり好きじゃない。その理由は主に以下の2つ。
アイテムはマリオカートのメインと言っても過言ではないが、これによって順位がどうとでもなってしまうことと、レースゲームであるにも関わらず1位になることが不利に働くというゲーム性がどうも俺に合わなかった。
アイテムによっていくらでも妨害が可能というシステムである以上、自身のプレイスキルを磨いて競争を勝ち抜くレースゲームとは程遠い。ある程度はプレイスキルでなんとかなるものの、結局のところアイテム運次第でどうにでもなってしまう。
とはいえそれは裏を返せば上手い人と下手な人、それこそ大人と子供などプレイスキルに差があっても一緒にワイワイ楽しめるように作られているということ。改めて考えてみると、マリオカートはレースというよりマリオパーティと同じパーティゲームのような扱いなのだと思った。
一方でF-ZEROには俺がレースゲームに求めているものが揃っている。それは
この2つ。
まずレースである以上、1位を勝ち取ることがゲームの目的。そのためにプレイヤーは自分の技術を磨いていき、少しずつ上達して壁を乗り越えていくのが楽しいのだ。昨今流行りつつあるフロムなどの高難度ゲームにも通ずるところがあるだろう。
マシンを選ぶ際にその性能…操舵性、加速、最高速度、重量。そういったもので選ぶのも楽しいポイントだが、ここにキャラクターの要素が加わると「マシンの性能は低いけど、このキャラが好きだから使ってみよう」という遊び方もできる。
ヒリヒリした緊張感とキャラゲーとしての魅力。この2つを兼ね備えた、俺にとっての理想のレースゲーム。それがまさにF-ZEROだったのだ。
しかし悲しいことにF-ZEROはかれこれ20年以上止まったままのコンテンツ。最後の据え置き機作品であったGXの売り上げは12万本と全く振るわず、そのまま衰退してしまった。
誕生こそF-ZEROの方が先だったのがこのような硬派なレースゲームは、マリオカートの圧倒的キャラ人気とマルチプレイに特化したカジュアルなゲーム性には勝てず、結果的にF-ZEROは1作目以降売り上げは右肩下がり。今や任天堂のレースゲームの座はマリオカートに完全に奪われてしまった。
その結果、2025年現在ではキャプテン・ファルコンは完全にスマブラの人でしかなくなってしまっている。スマブラプレイヤーの中には彼がどんなゲームのキャラクターなのか知らない人も多いのではないだろうか。
残念ながら続編や新作は限りなく期待できないが、Switch2のオンライン追加パックではゲームキューブのタイトルが遊べるようになるらしく、その中にはF-ZERO GXも含まれているのでまだ知らない人は是非、この音速を越えた世界に触れてみてもらえたらと思う。
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