➤評価別
➤ハード別
5年ぶりの新作に胸を躍らせ、いざプレイしてみれば出るわ出るわ不満の嵐。正直言って褒めるところがほとんどないシナリオとストレスを押し付けられる戦闘に不満が爆発。
結論を先に言うと「極めてグラが綺麗な凡作」といったところ。合計90時間プレイして何故そう思ったのかを解説していきたいと思う。
批判多めなのでこの作品が好きな方は閲覧注意でお願いしたい。
大型ストーリーDLC「Beyond the Dawn」が発売決定。レビューは以下。
開発者には本当に申し訳ないと思っている。システムも平凡だしキャラもあえて褒めるほど好きになれなかった。本当にごめんなさい
マップによってカメラ距離が勝手に変わるのウザすぎ。
これが基本の画角。
一番近い画角は終わってる。近すぎてマジで酔う。
一番遠い画角。これが一番見やすいしずっとこれにしてほしい。クリエイターが見せたい景色があるからなのか知らないけど、カメラ距離を調整できないのは単純に不便すぎる。
一部のキャラクターは特徴を持たせるためなのか知らないけど、かなりわざとらしいキャラ付けがされている。
ロウ君ですね。はい、本当に苦手です。アニメによくいる典型的なわざとらしいバカ。申し訳ないけど俺はこういうキャラは全く好きになれない。
こういう声を露骨に変えるお芝居(45秒あたり)とかも制作側の演出なんだろうけど、ロウというキャラクターが喋ってるというより【CV:松岡禎丞】が喋ってるだけにしか聞こえない。
異常な程わざとらしいオーバーリアクションとか。明らかに不自然だし面白くない。賑やかでお調子者という設定だとしても、でかい声で騒いだりとかそういう事じゃないでしょ。
テイルズは最終決戦の前にパーティメンバーたちが戦いへの決意や出会った頃の昔話や、それぞれの過去を振り返ったり胸中を吐露したりするといった決戦前夜イベントが恒例だ。そしてその中でその想いが恋心に発展する事も少なくない。
物語に恋の要素はつきものだが、それはあくまで自然な形で存在する場合の話。今作の場合は物語が終わりに近づくにつれ、それまで何もなかった者たちにも恋愛フラグが立ってしまう。
彼らですね、はい。この二人がよく分からない。
というのもこの2人には他のメンバーのような深い接点が無い。強いて言うならミハグサールでの一件くらいなのにロウはリンウェルに無自覚な好意を抱いていて「撫でてやりたくなる」という謎の発言をする始末。
リンウェルはロウが他の女の子に鼻の下を伸ばす事にやきもちを焼いて嗜めたりするなど、素直になれず彼への好意を認められないツンデレ。
わざとらしいほど鈍感なお調子者の男の子と気が強くて素直になれない女の子の両片思いという、ライトノベルにありがちな設定。こういうのを見てキュンキュンする人もいるんだろうけど、申し訳ないけど俺は全く好きじゃないしむしろ嫌い。
その理由は簡単で恋愛描写がわざとらしいのに死ぬほど鈍感な男はそれに気づきもしない。そして何故だか知らないけどお互いに好きで、そのきっかけも不明瞭な場合が多い。
生きたキャラクターが惹かれ合ったというより、作者がこういう展開をやりたかっただけというエゴが見えてしまう。
防御は撤廃され回避が基本の戦闘システムに変更。敵の攻撃を引き付けてジャスト回避することで、その後のカウンターで敵をのけぞらせることができる等のメリットがあり、そこからコンボを繋げてブーストストライクで敵を倒すいうのが基本的な戦闘スタイル。
ジャスト回避の要素は以前からもあったけど防御という選択肢が無くなった事で、以前よりもスピード感のあるバトルを楽しめるようになった。
「ブーストストライク」は敵を一撃で葬ることができる所謂フィニッシュ技で演出も豪華で非常に爽快。
これを発動するにはコンボを繋いでゲージを溜める必要があるが、そのためにいろんな技の組み合わせや仲間との連携を考えるのが面白いポイント
この「コンボを繋ぐ」というテイルズの醍醐味が戦闘システムと上手く絡まっていたのが見事だった。攻撃を見極めてコンボを繋ぎブーストストライクを決めるという今作の戦闘はとても楽しい。
「ボスが強いなんて当たり前だろ」なんて声が聞こえて来そうだけど一旦聞いて欲しい、本当にこのゲームは難易度調整が狂ってる。特に中盤に入った辺りからボスが異常に強くなる。本当に強い、強すぎる。
今作のボスは攻撃力とクリティカル率が異常に高い。難易度ノーマルですらだいたい2、3発喰らえば瀕死というダークソウル並の火力。
さっきも言ったけど防御がないからジャスト回避ができないと話にならない。一度回避したとしてもその後の連撃から抜け出せずに即死するという事態が頻発する。これを緊張感がある戦いと捉えられるかは人それぞれ、俺には無理だった。
今作のボスは絶対にのけぞらない。常時スーパーアーマーだからボスの攻撃の合間を縫ってチクチク殴るのが基本だから雑魚との戦闘とは立ち回りが大きく異なる。
モーションの長い技を使うと攻撃中に反撃を食らうのはザラだから、アルフェンの轟破斬など隙が少なくダメージ効率のいい一部の技を連発するだけの単調な戦闘になってしまいがち。
つまりボス戦において「コンボを繋げる気持ちよさ」「仲間との連携の楽しさ」は一切存在しないし、テイルズの醍醐味である「仲間と連携してコンボを繋ぐ」という要素が死んでしまっているといっていい。
せめてヒット数に応じてダメージ倍率やクリティカル率が上がるなどのボーナスがあればよかった。
そんな僅かな隙でも大ダメージを叩き込むことができるのがアルフェンの特殊技「フラムエッジ」
これはボタンを長押しした分だけHPが減り威力も上がるというハイリスクハイリターンの大技。加えてダウン中の敵に対してダメージが増加する特性を持っているから必然的にボス戦では多用することになる。
この超強力なフラムエッジは最大チャージなら5桁のダメージを叩き出すことも可能なんだけど、引き換えにHPが1になってしまう。自発的にHPを削るのは思ったよりもストレスがすごくて、フラムエッジの後は何を食らっても死ぬという諸刃の剣。
こういった具合に、雑魚とは打って変わって爽快感もクソもない戦闘が待ち受けているのだ。
「HPが減ったなら回復すればいいでしょ」なんて声が聞こえてくるけど、今作はその辺りのシステムも絶望的に噛み合わせが悪い。
回復にはCP(キュアポイント)という専用のゲージを消費するんだけど消費量がかなり多く、被ダメージを減らそうにもCPUは当然のように敵の大技を食らうし、火力担当のアルフェンはフラムエッジで自発的にHPを削らなければならないため驚くほどあっという間に枯渇してしまう。
しかもタチの悪いことにCPはパーティ全体で共有する仕様になっているから回復役を控えに回して温存しておくという事もできない。つまり戦闘が長引くほどCPが枯渇して回復や蘇生ができなくなってフラムエッジも使えないという状況が頻発する。
術が使えないならアイテムを使えばいいじゃん
もちろんHPやCPを回復できるアイテムも当然売ってるんだけど今作の回復アイテムは全体的に高い。シリーズお馴染みのオレンジグミ、そのお値段なんと1個3000ガルド。
どうかしてる。マジで高い、高すぎる。とても気軽に買える値段じゃないし、そもそも序盤では売ってすらいない。歴代シリーズでは100〜300ガルドで買えていたことを考えるとその異常さが分かるだろうか。
こんな価格設定のおかげで俺を含む殆どの人の場合グミを節約=CP(回復)ケチる事になるから、少ない体力で戦闘不能に怯えながら戦い続ける事になる。つまりCPが尽きるのは時間の問題。結果的にプレイヤーはジリ貧を強いられることになる。
HP回復アイテムのアップルグミ系も歴代のような「最大値の◯◯%を回復」するものではなく、決められた数値を回復するものだから後半になればなるほど役に立たなくなる。しかもまあまあ高くてアップルグミ以外は軒並み4桁。高すぎ。
お金が必要なら稼げばいいじゃん
そう思うだろうけど致命的な事に今作の雑魚敵はお金を落とさない。お金を稼ぐ方法は主に換金アイテムの売却かサブクエストの報酬金のどちらかしかないから、サブクエストや鉱石の採取を積極的にしないと永遠に金欠から抜け出せない。
仮に僅かなお金でグミを買ったとしても今度は武器や防具が買えなくなるというジレンマを抱えている。エンディング直前ですら仲間の武器を一通り強化したら金が消し飛ぶくらいにはずっと懐が寒い。
脳死でマラソンしていればお金が増えるといったことがなく、能動的にお金を稼ぐ意識をしていないと増えないようになっているのが妙にリアル。ゲームでくらい楽させてほしい。
「記憶喪失の主人公がヒロインと出会い、旅に出て悪者を倒していく」という王道すぎる展開で驚きも意外性も無かったが、痛みを感じない主人公と触れると痛いヒロインという設定は凸凹がうまくはまったような感覚で、2人の出会いが必然である説得力があった。
主人公の仮面の謎やフラッシュバックする記憶、何故か自分にだけ使える炎の剣など、いい具合に謎を与えながら話が進んでいくから先の展開がどうなるのかと想像が捗ってワクワクが止まらなかった。
特にゲーム開始からカラグリアの領将ビエゾを倒すまでが最高に面白い。
仮面が割れて自分の名前を思い出し、夜明けの太陽を背にしながら高らかに己の名を叫びオープニングムービーが流れるという、まるでアニメの第1話を思わせる展開は物語の幕開けとして最高の演出だったと思う。
しかし悲しいことに面白いのはここまでだった。
狡猾な策士で知られるシスロディアの領将「ガナベルト」はレナに反抗する者を捕らえて強制労働に従事させつつ、潜伏している反乱分子を密告した者には報奨金を与えるといった手段を用いて奴隷同士を互いに監視、疑心暗鬼にさせることで団結を防ぎ反乱の芽を摘んでいた。
更には変装を駆使し、自らがシスロディア抵抗組織のリーダー「メネック」として振る舞う事で、反抗的なダナ人達をまとめ上げコントロールしていた。
その立場を利用して、アルフェン達の精神的支柱であったカラグリア抵抗組織のリーダー「ジルファ」を毒殺。あとは残るアルフェン達を倒せば反乱の火種を潰せるはずだった。
それなのにあろうことかガナベルトは何の罠や対策も無しにアルフェン達を自らの拠点に招き入れ、その最奥で自身が1人で迎え打つという暴挙に出てしまう。これまでは変装や影武者を用いたり人の心に付け込んだりといった頭脳派だったのに、なぜか急に脳筋になってしまった。
ジルファを亡き者にした治療不可の毒を使うこともせず、そのまま4対1でボコボコにされて敗北した。策士という設定がある以上、最後までそれらしい立ち回りをしてほしかった。
当初アルフェンの「炎の剣」は彼の痛覚が無いからこそ扱えるという設定だった。アルフェンは痛覚がないからこそシオンと出会い、炎の剣を振るいカラグリアを解放する事ができ、物語が始まったわけだ。
しかし物語中盤でアルフェンの仮面は砕け痛覚を取り戻したにも関わらず、彼はなぜか炎の剣を使う事ができた。その炎の威力も増しているというのに「不思議と耐えられる」という謎設定で片付けられ、その理由がはっきりと語られることもない。
周りのキャラ達も「二人の絆が深まったから」とか、テュオハリムに至っては「胸の内に炎の剣以上の炎が燃えているから」などと各々勝手な解釈で勝手に納得してるくらいガバガバ。
興味をそそる設定や意味ありげな演出があるのに、それっぽいだけで意味のないものが本当に多い。本編でのアルフェンの刻罪の鎧の所以なんてその最たる例。
わざわざこんなセリフまで用意しておいて、故も知らぬただの鎧でした~なんて拍子抜けもいいとこ。
これがもし300年前のアルフェンが着ていたものだったらくっそ胸アツだったのに。王道を謳うならそういう所もちゃんと貫いてくれ。
オープニングにも登場した各属性を象徴するかのようなこの敵たち。
イフリート
ウンディーネ
ノーム
シルフ
過去作での精霊の名をつけられており、さもストーリーに絡む大事な要素かと思いきやこれらは全てただのサブイベントだった。
ストーリーで唯一イフリートと戦うんだけど、そこでは詳しい情報は一切語られず「新たなレナからの尖兵ではないか」という憶測のみで「町への被害を抑えられたならそれでいい」と雑に片付けられた。
他のいずれにおいても単に住民を困らせている存在でしかなく、それ以上の設定は何も分からないままでその答え合わせがされることは最後までなかった。ご丁寧にオープニングにも登場していたのにこの扱いである。
どう考えても何かしらの設定があったのは明白なのにこんな不自然に片づけられるのは単に脚本が悪いのか、それとも制作の都合で削られたのか…真相は闇の中。
物語後半アルフェンたちはレナに向かうため「星舟」を探すことになる。この時点では星舟がどこにあるのか皆目見当もついていないのだが、プレイヤーはある可能性に気付くはずだ。
未だ手付かずのレナの文明が残る場所。そう、この旅の始まりでシオンの服を探すために訪れたファガン遺跡。ここは古いレナの構造物で長らく誰も手を付けていなかった。
アルフェンは300年前にコールドスリープに入り、何らかの方法でダナにやってきてモスガルに収容されていた。もしこの遺跡がもしアルフェンとネウィリがレナで生活していた場所で、それがここに落下していたのなら、ネウィリと瓜二つのシオンが自分に合った服をここで見つけられたのも説明がつく。
そうだ、きっとそうなんだ。旅の始まりの場所に再び赴くという最高にアツい展開じゃないか。
だが現実は違った。星舟は火山の裏にひっそりと佇んでいた。こんな人間が寄り付かない奥地に降り立ち、意識が朦朧としたアルフェンがなぜ生きて人里まで降りレナ兵に拾われたのか不思議でならない。
これは本当にあのufotableなのかと目を疑った。驚くことにこの2枚の画像は同じムービーに存在する別々のカット。全く同じ絵を別のカットでも使って手抜きでないと言えるだろうか、いや無理。
オープニングムービーでも思ったけど、今作のアニメはお世辞にもクオリティが高いとは言えない。おそらくその原因は同社の制作していたアニメにある。
というのも当時は同社制作の「鬼滅の刃」が社会現象と化していたし、映画も超大ヒットしたうえ新作アニメの放送も控えていた。
前作までのテイルズの作画考えれば鬼滅にスタッフも予算も持っていかれたのは確実。でも企業の目線ならテイルズと鬼滅のどっちがお金になるかを考えれば答えは明白だから、鬼滅に人員を割いたufotableの選択は超正しかったし俺も同じ立場ならそうしてる。
なお、ufotableが本気を出したものがこれ。かなしい。
ダナの魔法使いの生き残りであるリンウェルは、幼い頃アウメドラによって一族を皆殺しにされ激しい憎悪を抱いている。その復讐のためにアルフェンたちの旅に同行していたのだが、物語中盤にてリンウェルは仇敵であるアウメドラと対峙する。
一族と両親の仇を討つため「私はこのためだけに生きてきた」と明確な殺意を持って攻撃を放つのだが、突然ロウが飛び出して何故かアウメドラへの攻撃を庇いリンウェルを制止する。
ロウの言い分は「憎しみのままに殺すのは良くない、きっと後悔する」という陳腐極まりないものだった。一応彼の背景を説明すると、彼は父親への反発から勢いに任せ家を飛び出し、その結果シスロディアの仲間達や父親を死に追いやったという後悔を抱えている。
仲間と父親を殺した張本人であるガナベルトを怒りのままに倒したが、喧嘩別れした父親と和解することも叶わず死なせてしまったという後悔が晴れることはなく「このままどこかで野垂れ死ぬさ」という激しい虚無感に襲われる経験をしていた。
これはその虚無感をリンウェルに味合わせまいとの行動だったのだが、申し訳ないけど全く説得力がない。
そもそもの話、ロウが父親と和解できなかった後悔とガナベルトへの憎しみは別の感情だ。だから「仇を打っても父と和解できなかった後悔は晴れないから、仇であるガナベルトを憎むのは間違っている」とはならないし、それが復讐を否定することには結びつかない。
何よりもリンウェルの事情をよく知らないまま勝手に自分の過去を重ねて、他人の復讐に口を出した彼の行動は理解に苦しむ。
しかも致命的なことに、ロウは自身の行った復讐を後悔している様子があまり無い。
復讐を遂げて激しい虚無感に襲われたと言っているけど、実際目に見えて落ち込んでいたのはシスロディアの洞窟を抜けるまでで、その後はムードメーカーとして明るくひょうきんなキャラクターとして描かれている。
強がってわざと明るく振る舞ってるのかもしれないけど、とてもじゃないけど虚無感とか後悔とか野垂れ死んでしまうような不安定な心の描写がほぼ無い。
復讐の虚無感について描くならロウは一度廃人になって、行き場もなく死にそうになっているところをアルフェン達に拾われるという展開があるべき。そうでないとこの行動に説得力が生まれない。
そんなロウの身を挺した制止によってリンウェルは矛を収めることになる。その後仲間達から「憎しみだけが支えなら復讐を終えた後は何を支えに生きていくのか」「勢いのまま、憎しみのまま行動しても気が晴れる事はない」という言葉をかけられる。
仲間たちの言葉を受けたリンウェルが下した決断は「殺しても気が晴れるのは今だけ、生かして罪を償わせる」というこれまた陳腐で説教くさいものだった。
確かにこれは現実に即した平和的な判断だ。現実なら私刑ではなく法によって裁くのが妥当だが、彼らの世界には「法」が存在しない。法の存在しない世界で悪人を生かしたまま罰を受けさせるという事を、彼女は具体的にどのような方法で考えていたのだろう。
この後結局アウメドラはヴァルラーンによって殺されることになり、リンウェルの復讐劇は茶番のまま幕を下ろした。
「憎くても殺すのはダメ」「赦すことが大事」こんな説教臭い使い古されたものは義務教育の道徳の授業でやるべき。
リンウェルの下した決断、もといこのゲームの伝えたいメッセージは決して間違ってはいないが、あまりにもゲームの世界観から乖離しすぎた価値観のため、ただの安っぽいメッセージになってしまっている。とても残念。
まさかの2つ目のオープニング、テイルズ史上初の演出に感銘を受けた。
ここまで物語に多少の粗があったもののかなりのボリュームで、ダナを開放しそこに黒幕らしき存在が出てきて、信じていたものが崩れ去り舞台はいよいよ宇宙へ!と盛り上がりがすごすぎて、ここから更に第2部が始まるのかと、今作はどれだけボリュームの大きい作品なんだと非常にワクワクしていた。
「終わりではなく始まり」そう言って始まった第2部だけど、実際はこの時点で物語の7割が終了している。今思えばここが最高潮だったし、ここから先は尻すぼみ感が否めない。
真のレナ人である「ヘルガイムキル」が登場し、アルフェンの出自やシオンの「荊」など、この世界のあらゆる秘密が一気に明かされていく。
ちなみにこの時点でラストダンジョン直前なのに倒すべき敵が誰なのかすら分かっていなかった。以下はヘルガイムキルとの会話で明かされた真相。
これまで謎を小出しにしながら風呂敷を広げてきたのに、それを一気に畳む勢いで全ての種明かしをされるため理解が追いつく前に話が進んでいく。
ここに来てやっとラスボスというか倒すべき敵が明かされるが、ラストダンジョン目前はいくらなんでも遅すぎる。
全ての元凶であるレナの星霊を討つ方法は2つ
前者は確実な方法としてヘルガイムキルから提案されたが、シオンを犠牲にしないと誓ったアルフェンは迷わず後者を選ぶ。
だけどこの時点では肝心のレナスアルマが手元に無いうえ、レナの星霊が持っているかもしれないという確証のない仮説をもとにラストダンジョンへ足を運ぶ事になる。
このように「かもしれない」「だろう」「きっと」で話が進んでいく。不確定な情報ばかりでプレイヤーの気持ちは盛り上がる訳もないのに、それでもストーリーは進んでいく。
レナの星霊力は一か所に集まって強い自我を持っているのに対して、ダナの星霊力は星全体に薄く広がっていて自我を持たない。
ラストダンジョンの道中でリンウェルはそれを思い出し「ダナの星霊はダナの人々に少しずつ宿っていて、その想いが1つになれば助けを得られるかもしれない」と言う。
しかし現実的にダナの人々全員が同じことを考えるなんて都合のいい方法は無いためただの理想論でしかないし、そもそも「助けを得る」というのが具体的にどのような意味なのか定義されることもない。
その提案がそれがどれだけ素晴らしいものであっても、この最終局面において新たな可能性を模索することなどできない。いずれにせよアルフェン達は多分そこにあるはずのレナスアルマを取り返して星霊を封印するか、シオンごと星霊を殺すかの二択しかないのだ。
ラストダンジョン終盤、レナの星霊力に触れたリンウェルは世界の真実を知る。
早い話がレナの星霊に悪意はなく「死にたくない」という根源的な恐れからこのような事態に発展していたという事だが…
「で?」って話。
さっきも言ったけど今更そんな事を知ったところでどうしようもない。プレイヤーもアルフェン達も星霊を封印するためにここまで来ているし、世界が元は1つだったとか知ったとてだから何?って話。「戦わずに済んだのかもしれない」とか言われても今更なのよ。
とはいえ、これら全てはこの後の超ご都合展開のヒントになる。でもこれを伏線と呼ぶにはあまりに雑だしご都合展開に伏線のクソもない。
ヴォルラーンには全く魅力を感じない。もっと言うと全然テイルズらしくない。
譲れない正義のぶつかり合い、もしくは目的は同じだけどその手段が違うために対立してしまうという悲しい戦い。そうしたなかで主人公達は自分の行いが本当に正しいのかという葛藤。
この「正義vs正義」という簡単に敵を悪だと言い切れない複雑で深いストーリー性がテイルズらしさだと思ってるんだけど、こいつには正義と呼べるようなもっともらしい理由が無かった。
というのもこいつの思想は「誰にも支配されないために自分以外の全てを支配する」というもので、平たく言えば「これまで酷い目に遭ってきたからもう同じ目には遭いたくない」という実に小物臭い理由で、そこに正義があったわけではないのだ。
この利己的な支配者という立場がヴォルラーンを単純な悪党にしてしまっているため、解放を目指すアルフェンから見ればただの支配者という悪人でしなかなく、とてもじゃないけどもう一つの正義なんて呼べる存在ではなかった。
これまでアルフェンと度々戦ってきたのも、支配者である自分と同じ能力を持っているアルフェンが許せないというただの私怨でしかなく、これが小物感をさらに強めてしまっている。
最終決戦に現れたのも「自分をコケにした星霊が許せない」というもので、最後の最後までアルフェンと戦わなければならない理由が薄く、悪役としての魅力が溢れるキャラクターにはなれなかった。
レナの星霊を倒しレナスアルマを取り返したのも束の間、因縁の相手であるヴォルラーンが現れレナスアルマを奪われてしまう。激闘の末ヴォルラーンを倒し、憎しみを乗り越えて赦し合う道を選んだアルフェン。
しかし力による支配こそが全てという対極の道を征くヴォルラーンは当然その思想を受け入れる事はできず、シオンを救う唯一の方法であるレナスアルマを抱えて自爆した。
アルフェンの主張は「赦し合いだけが差別や対立を乗り越えられる」という、平和的であり綺麗事にも聞こえるものだったが、結果的にはその他者を赦す強さ、もとい甘さが徒となりシオンを救う唯一の方法を失ってしまった。
シオンを失うことが確定したアルフェン。自分の選択がこの結果を生むことを覚悟をしていなかったのか、この期に及んで後悔の言葉を垂れ流すアルフェンには「お前の責任だろ」としか思えなくてイライラが止まらなかった。
他に方法はないのかとシオンに手を下すことを躊躇っていると、唐突にアルフェンは「ダナの星霊力に呼びかければ助けを得られるかもしれない」と言い出す。道中にリンウェルが話していたあの話だ。
当然シオンに無茶だと言われるが「無茶でもこれしか方法がない、それにこれはレナも救う方法でもある」と続ける。
アルフェンは「レナの意思は消滅への怯えという、決して邪悪なものではなかったからレナも救いたい」というのだ。そう。何も犠牲にしたくないアルフェンはレナの世界も救いたいとエンディングで突然言い出す。
もう一度言うが、エンディングで突然。
ここでプレイヤーとアルフェンの気持ちが完全に乖離する。なぜならプレイヤーもアルフェンもこれまでレナを救うためなんて理由で戦っていないからだ。
アルフェンがレナも救いたいと思っていたことはこれまで1ミリも触れられていないし、ヴォルラーンを倒した瞬間でさえレナスアルマを取り戻してレナの星霊を封印する気でいた。
それなのに自分の甘さが原因でシオンを救う方法が無くなった途端、ほんの思い付きで確証もない希望に縋りつく。これが令和のJRPGの主人公
「シオンもレナも救いたい。だから力を貸してくれ!」
こんな他力本願な主人公が今まで居ただろうか、いや居ない。
そしてこの突然降って湧いてきた、世界とシオンの両方を救う方法がなんと成功してしまう。普通なら自分の選択を受け入れてシオンを失うか、すべてを救うためにその方法を探す努力をする過程があるはずだ。
それが今作はどうだろう。アルフェンはほんの思い付きで世界とシオンの両方を救ってしまった。祈って、願って、世界が救われる。本当にこれでよかったのか。
いや、いいわけがない。
とはいえ俺は別にバッドエンドを望んでいるわけじゃない。幸せな結末は否定しないしむしろ歓迎する。
荊の呪いで誰とも触れ合えず人の温もりも知らずに育ち険しい表情ばかりだったシオンが、エンディングでは満面の笑みで幸せそうにしているのは心にくるものがある。
ふたりの結婚式に参列したレナとダナの人々が共に笑いあっている光景は、対立や憎しみを乗り越え本当の意味で平和が訪れたのを感じさせてくれる。
でもそんな幸せな結末よりもそこに辿り着くまでの過程が大事ではないだろうか。アルフェン達が努力した結果のハッピーエンドなら何も文句はないけど、これは願って与えられたハッピーエンドでしかない。
結果的にアルフェンがシオンを救うためにやった事はダナの星霊にお願いして助けて貰っただけ。端的に言うと与えられたハッピーエンドでしかなく勝ち取ったものではない。
二つだった世界を一つにして、2人は結婚してハッピーエンド、世界は平和になりました。なんて終わり方だけどこの世界には残された問題が多すぎる。
住処を失ったレナ人たちの受け入れ先は?なによりもダナ人達はレナ人に対して300年分の恨みがある。そんな彼らが過去の罪を赦し手を取り合って生きていけるだろうか。
それが無理とは言わない、でもそれはかなり難しい問題だ。だからこそゲームを通してその答えが欲しかった。支配からの解放とその先の共存を描くならそこも部分も描くべき。
直接の描写はないにしても、モノローグなり何なり表現の仕方はあったと思う。それをすっ飛ばして「2人は結婚しました。はい幸せなハッピーエンド」という終わり方は、ストーリーに重きを置くテイルズオブシリーズとしては流石に雑すぎる。
暴力による支配への反抗から始まったアルフェン達の旅は、恩人との別れや新たな出会い、新たな価値観に触れ、迷いながらもその足を止めることはなく、支配からの解放とその先にある共存という未来に向かって進んでゆき、互いに憎しみを乗り越えて赦し合うことで心の壁を壊し、対立するふたつの世界に新たな夜明け、黎明をもたらした。
「心の黎明」というキャッチコピーに見事に合致するシナリオだったと思う。
だけど、このゲームが伝えたかったメッセージがアルフェン言っていた「赦し合うことの大切さ」だとするならこの結末はとても納得できない。それならば例えシオンを失う事になっても、それが「赦す」という選択の結果ならアルフェンはそれを受け入れるべきだ。
「何も犠牲にしたくない」という都合のいい結果だけを欲しがる子供の駄々のようなものが、星霊の意思への呼びかけ、祈りや願いで自分の選択が生んだ不都合な結果さえも無かったことになってしまうなんて、究極のご都合主義と言っていい。
シナリオ全体で見ればなんとなく良さげな作品であることに違いはないが、ここまで散々言ってきたように、不自然で急な展開や雑な心理描写、ご都合展開の連続などが足を引っ張っている。
設定や世界観は素晴らしいしグラフィックも綺麗なのに、小さな粗が積み重なって傑作になり損ねてしまったのがとても残念。こういった点に目を瞑れるか、細かい事が気にならなければ作品の感想は大きく変わるだろう。
ただ繰り返しにはなるけど、俺はテイルズオブシリーズは大好きだから新作が出れば今後もプレイしたいと思っている。ストーリーの整合性とキャラクターの説得力という点を次回作に期待したい。
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