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ここ最近YouTubeやTwitterでAYANEOのような中華Androidゲーム機やPCで、GCやPS2のゲームを遊んでいる人を見かける機会がかなり増えた。
特にGCやPS2、PS3やWiiUなど現行機での互換が無いハードは実機が壊れてしまえばそれで終わり。未だ現行機に移植されていないタイトルも多いため、もしPCで遊べるようになるなら喜ばしいことだ。
俺の場合、最近古いテイルズ作品を遊び直ししているのだが、その多くはPS1、PS2時代のものなので今見ると画質もガビガビで正直遊ぶのも厳しいと思う時もある。それがエミュレータなら高画質化はもちろんPCでソフトを一元管理できるため、レトロハードの物理的な故障におびえる必要もない。
もし合法的にエミュレータで遊べるのであれば、それは非常にありがたい選択肢になる。合法であるならば。
実機ではない環境で動かしているとどうしても「これ本当に大丈夫なのか?」と疑問に思う人も多いだろう。
だからこそ、一度しっかり調べてみることにした。
本記事はエミュレータの使用を推奨するものではありません。調べた範囲で得た情報を提示していますが、エミュレータの是非には多くの法的な解釈が伴います。筆者は法律の専門家ではありませんので、「あの人が言っていたから」という理由で行動するのはご遠慮ください。
結論から言うと
エミュレータそのものは合法だけど実際の運用はほぼ確実にアウト
となる。
要するに温情によって見逃されているだけというのが実態で、限りなく黒に近いグレーというのが俺の結論となる。

エミュレータなんてけしからん!

どうせ割れ厨だろ。違法ダウンロードだろ!
って言ってる人の気持ちは分かる。
2010年前後、DSやPSPの時代はデジタルコンテンツの法整備も間に合っていなかったためゲームソフトは割られ放題で、いろんなゲームソフトがネット上に大量にばら撒かれていた。
当然のようにPSPは改造されていたしマジコンも普通に売られていたため違法ダウンロードしたゲーム(以降ROMと呼称)で遊んでいる人はうじゃうじゃいた。俺の周りにも普通にいたし、改造したPSPやマジコンを見せびらかしている奴もいた。
そんな時代を見てきた人ならば、実機ではなくPCでカセットもディスクもなくROMだけでゲームを遊んでいるその光景を見ると、どうしても忌避してしまいがち。
でも、エミュレータって合法なんです。
繰り返します
まず大前提として、エミュレータは合法です。
最もわかりやい例はバーチャルコンソール。かつてWiiや3DSで利用できたもので、ファミコン、64、ゲームボーイなどのソフトがそれぞれのハードで遊ぶことができた。
Switch2でも「Nintendo Classics」というオンラインサービス加入者限定のサービスがあり、タイトルの購入こそできないがバーチャルコンソールのように過去のソフトを遊ぶことができるため、これもエミュレーターであると考えられる。
PS3後期型の場合、初期型にあったPS2の後方互換は失われていたが、PSストアで配信されているDL版のPS2タイトルは遊ぶことができたため、これもエミュレーションであると考えられる。
前に公式から販売されていた「PlayStation Classic」や「ニンテンドークラシックミニ」といった製品もこれに該当する。
このようにエミュレータ、エミュレーションという技術は思っているより身近に、しかも公に存在している。
一部じゃ「違法DL」の温床なんて言われているけど、それは使う側の問題であってエミュレータの問題ではない。本来切り離して考えるべき問題だ。
じゃあなんでエミュでのゲームがアウトだと判断したのか…サクッと簡潔に言いましょう。
個人でのエミュレータ利用に関する最大の問題点は
ROMとBIOSの入手方法
これだけです。エミュ問題の本質はここです。
PC上でエミュレーションを行うためには、まずROMを手に入れる必要がある。
方法は二つ
言わずもがな、前者は違法ダウンロードです。言い逃れの余地すらない完全なアウトなので絶対にやめましょうね。
なので、自分で吸い出して利用する形になる。これはあらゆるエミュレータの解説サイトやエミュ機の紹介ブログで口酸っぱく言われていることだ。
あしかし、ここも気を付けなければならないポイントがある。
具体的には
この二つだ。
以降の引用元は全てデジタル庁が運営する「e-Gov法令検索」とする
あわせて読みたいe-Gov 法令検索 電子政府の総合窓口(e-Gov)。法令(憲法・法律・政令・勅令・府省令・規則)の内容を検索して提供します。
誰かが作ったものには必ず「著作権」というものがあり、通常この著作物を複製する権利「複製権」は著作者本人か本人が許可を出した者にしか与えられていない。
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
つまり著作者の許可を得ない我々第三者が勝手にROMを抽出、コピーして所持することは法律上はできない。これを無視して販売されたものが所謂「海賊版」というものになる。
しかし例外的に複製が許される場面があって、それが「私的利用のための複製」だ。
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
簡単に言うと「自ら鑑賞したり家族間で共有したりするための複製ならOKだよ」ということ。
録画したテレビ番組をDVDにダビングして後で見返すとか、レンタルしたCDをPCに取り込んでスマホに同期したりとか、個人で楽しむ用途なら他人の著作物でも無許可でコピーしてもOKという話。

ならROMも自分だけが遊ぶなら私的利用の範囲だから吸い出したっていいってことか。
って思うんだけど、実際にはそう単純ではない。
というのも、ROM吸い出しの過程でほぼ確実に「技術的保護手段の回避」にあたる可能性があるからだ。
前の引用に書いてあった「次に掲げる場合」というのがこれで
二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)をいう。第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
簡潔に言うと、著作者がデータを複製させないために暗号化(コピーガード)したものをどうにかこうにかしてコピーすることは、たとえ私的利用であったとしても許されていないということだ。
言い換えるなら「割れ」です。
つまり「自分で買って吸い出したから問題ない」という理屈はコピーガードを回避した場合通用しないということになる。これはコピーガードの施されているレンタルDVDのリッピングが違法なのと同じ理屈。
だから通常の方法で吸い出せないものや本来アクセスできないデータを吸い出すために特殊なツールを使用したり、本体の改造を伴うもの…
つまり
この辺りは例外なくアウト。
YoutubeやTwitterでは当たり前のようにエミュでこれらを遊んでいる人を見かけるため錯覚してしまいがちだが、厳密にはアウトというわけだ。

じゃあコピーガードがないソフトなら問題ないってこと?
おそらくその可能性が高い。
実際そういったプロテクトがかけられていないであろう、Nintendo 64より前のソフトが遊べるレトロフリークのような互換機は普通に発売されている。
同機はROMの吸い出しや本体へのインストール起動、SDカードへのROMのコピーも可能となっているが、これまでそれが原因で販売元のサイバーガジェットが権利侵害で訴訟されたような事例は調べた限り見当たらなかった。
以上のことからコピーガードがないソフトの吸出しに対する法的な問題はおそらく無いと思われる。
よって一般的なDVDドライブで読み込めて、Image Burnのようなコピーガード解除の機能が無いライティングソフトでISO化ができる、PS1とPS2のソフトも問題ない可能性が高い。
が、ここで別の問題が浮上する。
エミュレータで必ずぶち当たるのがBIOS問題。エミュレータを動かすうえで必要となるBIOSは、いわばゲーム機の心臓のようなものなのだがその入手方法には大きな問題がある。
当然だが正規のDL手段など用意されていない。誰かがネットにアップロードしたものをダウンロードするのは違法DLなので、実機から抽出することになる。
実際多くのサイトや個人ブログではそれが推奨されているが、先ほど話した「技術的保護手段の回避」を考えるとBIOSの抽出がこれに該当する可能性は否定できないのだ。
大前提としてBIOSはメーカーの著作物で、本来ならば外部からアクセスできるはずもない領域にあるもの。それをツールを使用して抽出、コピーすることが技術的保護手段を回避していないとはとてもじゃないけど俺は言い切れないと思う。
また、PS3のアップデートファイルからBIOSを抽出する方法も存在するが、これも同様にPUPファイルとして配布されたものを外部ツールを使用して抽出する方法なのでクリーンとは言い難い。
結果としてBIOSを合法的に用意する手段は無いため、これを必要とするエミュレーションは現実的にはアウトと判断せざるを得ない。
ここまでを整理すると
となる。
特にPS1以降のエミュレーションは技術的には可能でもBIOSが必須となるため、現在の法では合法的に運用することが極めて難しいという状況にある。
であるにも関わらず、普通に使われているのは単に見逃されているだけであって許容されているわけではないので勘違いしてはいけない。
これこそが「限りなく黒に近いグレー」と表現した理由。
逆にコピーガードされていなくてBIOSも必要ないエミュレーションなら、限りなく白に近いということになる。なので市販されているレトロフリークでカバーできる範囲は問題ないと考えていいのかもしれない。
エミュレーション自体は超魅力的。高解像度での描画はもちろんどこでもセーブなど実機では不可能だった快適な動作ができるし、複数のタイトルをPCで一元管理できるため物理的なゲーム機の故障やディスクの破損といったアクシデントにおびえる必要もなくなる。
レトロフリークのようなエミュ機が販売されているのも快適さのためだけではなく、業界がこれまで築き上げてきた無数のゲーム、いわば文化的な財産を過去のものにしないための手段であるとも考えられる。そういった面においてエミュレータに一定の需要があるのも理解できる。
しかしその裏で、開発元や権利者に正当な対価が支払われない可能性があることも無視できないのも実状。
近年では過去作品のDL販売も増えてきている。つい先日SteamでブレスオブファイアⅣが配信開始されたのもそうだし、PS5でもアーマードコア、ディノクライシス、SIRENといったタイトルも配信されている。SwitchでもGBAのファイアレッド、リーフグリーンが配信されたばかりだ。
少しずつ…本当に少しずつではあるが正規の形で遊べる機会は広がってきている。俺たちが公式にお金を落とすことで続編とかリマスターとか、シリーズが再始動する可能性も否定はできない。
そう考えると個人でのエミュレーションを認めてしまうと公式のリマスターの機会を奪ってしまうことになりかねない。まあ…それでも配信されていないタイトルのほうが圧倒的に多いんだけど…。
いっそのこと公式がエミュレータを出してROMをストアから購入できるようなサービスがあれば、違法性の高い手段を取るまでもなく過去の財産を残していけるしお金にもなると思うんだけどなぁ…。
てか、それこそが「バーチャルコンソール」だったんだけどね。任天堂によると移植コストと人的リソースの関係で終わってしまったらしい。Nintendo Classicsは限られたタイトルだけだし、こちらとしてはまた昔みたいに販売してほしいね。FEトラキアとか未だに配信されてないし…。
できればその時はSONYも一緒に…。
バーチャルコンソールのソフトは基本的には元のソフトをベースにつくるわけですが、元のソフトさえあれば何種類でも簡単につくれるのかというとそうではなく、各ゲーム機の上でしっかりとテストをして問題なく動作するかといったことや、現在のさまざまな基準に照らし合わせたときに不適切なことはないのかといったことなど、結構細かい手作業が必要となります。ですから、「バーチャルコンソールのラインアップの増えるペースが遅いのではないか」というご意見を一部の方からいただくことがありますが、こうした手作業ばかりに人手をとられますと新作をつくれませんので、「限られた人員の中でどうやってより効率よくつくるか」ということについて今いろいろ研究しています。
最後にまとめておくと
エミュレータ自体は合法で何の問題もないが、一部のROMとBIOSの入手段階で法に触れる可能性が極めて高い。
おそらく合法なケースもあるが、多くの場合限りなく黒に近いグレーであるため積極的に踏み込むべき領域ではない。
というのが俺の結論。
残念ながら手持ちのPS1やPS2ソフト…主にテイルズを高画質化して遊びたいという俺の野望は潰えてしまったが、危ない橋を渡っては意味がないので、気長に公式のリマスターか移植を待つこととする。
ここまで聞いてもらった通りエミュレータには多くの法的解釈が伴うし、俺は法律なんて素人なんで今回の内容が100%正しいとか言うつもりはありません。
なのでこの件に関して俺がエミュを推奨したり、逆にやめろと言うつもりも無いです。
ただ経験則として
「多分大丈夫だろう」は、だいたい大丈夫じゃないよね
とだけ言って、今回は締めさせてもらいます
それでは
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